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池澤夏樹紹介

ひろば160号 過去のげんこうだぜぃ(そのに)!
 池澤夏樹をご存知だろうか?

 私が読んだ本は、科学と文学が青春の中に融合した『スティル・ライフ』、『すばらしい新世界』、大英博物館の展示物の故郷を旅する『パレオマニア』、エッセイ集『雷神帳』である。今回は長編『すばらしい新世界』を中心に池澤作品の魅力を紹介したい。
 
 この物語の主人公は、風力発電会社に勤めている。妻は環境団体に参加しており、活動的である。沖縄に台風を見に行くところから始まり、風車開発、チベットへの訪問、現地の人々との触れ合い、チベット密教の問題、中国とチベットの問題、先進国が途上国へ行う援助の問題(主に、現場のことを考えていない為に起こるずれ)、といったような多彩な問題が詰め込まれている。これだけの内容が一つの物語として成立していることに吃驚である。

 さて、池澤作品のポイントとなるのは、外からの視点だろう。『すばらしい新世界』では、チベットでの生活を介して、日本(東京)の生活を想う。読者は主人公と共に、日々の生活を見返すことになる。厳しい自然の中、仏を信じて生きる社会と、神様より人間が偉くなってしまった社会。日本社会が失ったものが懐かしげに語られるが、決して現在を完全否定してはいない。歪さから既存の社会は解体されて、新世界が創出する、そんな兆しが垣間見える。『パレオマニア』では実に多くの国を旅する。古い文明でも、新しい文明でも、根本的には人間の姿は変わらない。時代と空間を超え、そこから現代を省みる。大層贅沢な作品である。

 『すばらしい新世界』が書かれたのは、2000年だ。間も無く十年が経つ。果たして、今、現在は「すばらしい」だろうか?何かが足りないと思うのならば、疑問に思ったのならば、池澤作品を読むことを薦める。現状を外から見つめる為にも、「すばらしい」社会を築く為にも、勿論個々人の日常生活のレベルでも、役に立つ視点があるはずだ。




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Author:Yuki
東京大学理科一類
物理工学科進学
そのまま院進学
医生系海外院行きたい。
よろしくおねがいします。

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